商業出版

商業出版とは

出版社が、読者に購入してもらうことを目的に、本を出版することを自費出版との対比で商業出版と呼びます。費用は出版社が負担します。
自費出版や企業出版と明確に違うのは、コスト=印刷・流通経費が出版社負担であるということです。売れれば利益が出て、売れなければ不良在庫となります。

商業出版のお客様は「読者」です。
出版社は、著者に対して編集者やライターのスキルを提供し、「本」を共同で作成します。
そして取次会社の流通網を経て、全国の書店で販売されます。
読者のニーズに対して「面白い」「役に立つ」「感動する」「温かい気持ちになる」「笑える」など、応えられる「価値」を提供し、代価としてお金をいただきます。
著者には印税という形でその一部が支払われます(売り上げの5%から10%が一般的)。

人にとっての価値というのは多種多様で、読者のニーズに応えられるもの。類書と比べて優れているものである必要があります。商業出版をしたらお客様が増加した、イメージを伝えられた、メディア露出で有名になったなど、様々なことはあくまで「二次的な目的」であり、出版社が商業出版する主な目的は「読者に価値を提供すること」です。費用は出版社負担であり、著者には原則として費用負担はありません。

商業出版の主な書き手は、出版社にとってはビジネスで収益を上げる投資先になるので、有名で、ブランドを築いている人たちが主な対象になり、TVに出ているような人たち、特定のジャンルで有名な人たちが対象になります。最近では、専門家だけど一般的には知られていない著者の方も過半数以上占め、そういった方々の本がベストセラーになることも多く見うけられます。
本の出版後は、書店で売れれば追加注文が入り、売れなければ返品されます。
返品された本は、その後売れる見込みがなければ絶版になります。

通常、商業出版作品は

出版社の編集者が企画を立て、執筆者に原稿を依頼します。
本が生まれるきっかけは、出版社の編集者です。編集者は、いま読者はどんなテーマの本を求めているのか、どんな本を出せば売れるのかを考え、マーケティングをして新刊の企画を立案します。本が出版される過程では編集プロダクションが企画や原稿の作成、校正作業に関わることもあります。

社内で決定した企画案は、制作の段階に入ります。
本を作る上で要は著者です。出版社の編集者は自分が作ろうとしている本が書ける著者を探し決定します。著名人へのインタビューによる出版の場合には、ライターに作業を依頼します。著者が決定したら連絡を取りながら必要な内容を詰めていきます。
原稿が完成したら本のレイアウトを決め、印刷所に入稿。
ゲラが完成したら校正作業をおこない、赤入れしたものを印刷所に再入稿します。

ヒナコ

商業出版は読者のために書かれた書籍であり、
自費出版と企業出版は書き手のために書かれた書籍です。